且听风吟

实地照片(渡边搜集)

<街>

 村上春樹氏は高校時代までの青春期を西宮市とその西隣りの芦屋市ですごしています(正確言うと、実家がこのエリアにありました。高校は実家のある芦屋から少し離れた神戸高校まで通っています。この神戸高校は芦屋市西隣りの神戸市にあります)。このことを村上春樹氏本人が「村上朝日堂」の中でこう書いています。
 「僕は物心ついてから高校を出るまでに二回しか引っ越しをしなかった。(中略)兵庫県西宮市の夙川の西側から東側へ、そして次に芦屋市芦屋川の東側へと移っただけのことである。」
 これは図の"芦屋川"、"夙川"を見ると分かるように、非常に限られたエリアです。
 さて、「風の歌を聴け」においては大学で東京に出た主人公の故郷が舞台となっていますが、まさに先述の芦屋市・西宮市・神戸市にある様々な場所が作中に登場してきます。特に高校時代に実家があった芦屋市を舞台にしたシーンが多く見られるので、「街」について語るこの場面では芦屋市全景を捉えることのできる、図の"撮影ポイント1"で撮影を行いました。写真の下に見えるのは「辺境 ・近境」にも出てくる香櫨園浜になります。

<YMCA>

 作中に登場する女の子はYWCAでフランス語会話を習っています。ここで注意すべきはYMCA(Young Men's Christian Association)ではなく、YWCA(Young Women's Christian Association)であるということです。しかし、実際のところYWCAの方は震災後に立て直されたらしく、建物自体が作品のイメージと合いません(写真その1、その2)。そこで動画の方ではYMCAの写真を使いました。ちなみにこのYMCAとYWCAは歩いていけるくらいの距離にあります。

<倉庫街>

 作中に「港」とありますが芦屋市と西宮市には港らしい港はありません。「隣には巨大な港街がある」の記述もあるように、作中の「港」は芦屋市西隣りにある神戸市の神戸港のことを指します。
 さて撮影場所ですが、「港」「倉庫街」「突堤」「正面には造船会社のドック」のキーワードから場所を特定しました。ここには倉庫が立ち並んでおり、地図にもあるように突堤でもあり、正面(方角的には南西)には川崎重工業神戸工場の造船ドックがあります。しかも「(倉庫の)高く暗い窓には頑丈そうな鉄格子がはめられ」の記述通りの倉庫があります(写真)。
 その日はまさに美しい夕暮れが見られ、車の中から沈みゆく夕陽を撮影することができました。家を出る時に適当に詰め込んだジャズのCDを聴きながらしばらく物思いに耽っていました。今思い返すとこの撮影旅行の中で一番イメージの中の神戸に浸れたのがこの瞬間でした。
 写真は第三突堤から第二突堤を撮影しました。第一突堤からメリケンパークを望むとこのようになります。

<造船会社のドック>

 前述の川崎重工業神戸工場の造船ドックを第一突堤より撮影しました。撮影を行ったのが日曜であったため「ドックの灯」がともることは無かったですが、巨大な船がドックに横たわっている姿はまさに圧巻でした。

<夜の港>

 第二突堤より南東方向を撮影しました。
 夜の港は打ち寄せる波の音と遠くの汽笛が聴こえるのみで、静寂につつまれていました。当然のごとく、車でここを訪れているカップルも何組かいました。けどそれほど数が多いわけではなく、さり気ない感じだったのが印象に残っています。自然にこういうスポットがある神戸という街が羨ましく思えました。私もここで大学生活を送りたかったな ・・・。

<ジェイズ・バー>

 さて、ここはどこでしょう?ジェイズ・バーの雰囲気そのままに重みと渋さを感じさせるカウンター。店内には当然のごとくピンボールが置いてあります。メニューにはしっかりと「フライド ・ポテト」もあります(これはどこにでもあるか)。
 そう、ここは「風の歌を聴け」が映画化された時にジェイズ・バーのロケ地に使用された店(名前は「ハーフタイム」)なのです!店内には涙もののこんなポスターが(右に書かれている字に注目!)。
 私が訪れた日には、まだ早い時間だったのですが常連さんと思われる客が二人(片方の方が井筒監督にそっくりでした)、カウンター内には二十代前半と思われる感じのよい青年と、店の主である気さくなママがいらっしゃいました(写真)。僕が妻と店内に入り「1973年のピンボール」を読んで悦に入っていると、先の青年が「本を読まれているのですか?」と話しかけてくださったので、かくかくしかじかとお話しました。店内の撮影も快諾してくださったので様々なものをカメラにおさめ、挙げ句の果てには妻と二人でカウンターに座り撮影していただきました(本当に、ありがとうございました!そして常連さん、気を使わせてしまってゴメンナサイでした ・汗)。残念だったのは車だったので全くアルコールが飲めなかったことでした。次に行く時には絶対にビールを飲むぞ!と固く心に誓ったのでした。アクセスはこちらを御参照ください。

 

<夜行バスの待合所>

 最後に"僕"は「夜行バス」で東京に帰ります。現在、神戸から東京に向かう夜行バスはJRのものだけになります。このバスは三宮駅のバス停を始発とするので、その「待合所のベンチ」から見た街の風景をカメラにおさめてきました。
 

©http://www.cunshang.net整理